「今月の小売状況コラム」
過去の記事
固定資産税の還付請求
「 払いすぎの固定資産税が戻ってくる 」
ポイントカードシステムを活用した
購買顧客統計理論予測システム =既存でお使いのシステムでご利用できます=
データベース集計好きの解析下手の日本人
「コンジョイント分析に学ぶ」
ショッピングセンターのテナントリーシング(2018.3.3)
SCDV企業にとって、リーシング業務は「新しくて古い問題」。
SCのリーシング業務は、好況時期にあってもSC運営においての難しいレベルの問題の業務であった。今の時代は、全国的にテナント数をSC内の区画数が上回りすぎたことと、古い施設や売場規模の小さいSCは出店側から敬遠される時代になっている。
特に、この傾向は地方都市において顕著である。
出店者であるテナント側の視点は、出店も退店も企業収益性を優先した判断によるものであることは周知のことである。開業から10年程度経過したSCにおいては、テナント総数の半分程度を超える店舗の入退店があることが一般的であろう。退店テナントの退店原因は、そのテナントの経営展開によるものが多い。業種の衰退や法律改正によるものも退店原因となった店舗もあるが、退店したテナントの多くは、経営展開に問題があり結論として売上低迷により退店に至る。
SCのテナントリーシングを単なる空き店舗の穴埋めとした視点で捉えるのではなく、SCDV企業として生残りをテーマにしたテナント揃え(SCMD)を考えることが本論である。
先入観や既成概念に捉われず、SCに必要と考えられる不足業種の入店とすることにとどまらずリーシングに伴ない現状のSCMDを整理することが理想だ。
素朴に、「自身で飯を食ってくれる店舗」であって、SCにお客様を集客してくれるテナントで多く賃料をSCDVに支払ってくれ、尚且つ、現状テナントとのバッティングしない業種であれば全ての問題は解決するのだが、現実的な話ではない。
基本論として、現時点で業績が上がらない店舗は、お客様に支持されていないテナントといえる。SCDVにも貢献してくれないテナントともいえる。
ただ、この中には業種・業態自体が衰退と考えられるテナントも含まれる。
他人事的な発言で、これらのテナントと新規のテナントの入れ替えをすればよいとの声も想像される。
しかし、まったく無視する意見でないことは事実と思える。
SCDVの企業倫理としても、収益重視であることは否めないことから、現状賃料を下げてまでテナントの入れ替えに踏み切れない。
その逆は、当然、歓迎することであるが現テナントとの契約を一方的に解除することは企業倫理からしてできない。ただ、3社の利害の一致をみれば、問題がない。
テナントとの賃貸借契約満了を迎える5〜6年程度先に迎えるSCは、将来を見据え、テナント区画と核店舗が退店することも想定して、今後、SCDV企業としての将来の方向性を探る機会として、リーシング事業を進めたいものである。
特にNSC型の経営等運営問題は、国内のとどまらずSCの先進国であるアメリカにおいても多くの問題を抱えているが、SCMDとしての解決策が未だ見えていない。
小売・サービス業の閑散期の販売準備と対応(2018.2.1)
まず、冒頭に今年度の消費予測は、マスコミなどで恒常的に取り上げられる厚生年金などの社会的不安要因・日本株の暴落・原油高・給与の伸び悩みが継続するなど経済的不安要因から景況感の悪循環が国内全体の消費マインドを抑制することとの予測が一般的です。景況感としては、消費者の消費意欲は今年も昨年度を下回る予測を多くのアナリストが声をそろえて言っています。
しかし、小売・サービス業の方々は、この景況にはこの景況なりの対応をとっていかないと経営の存続が危ぶまれます。
現状の時期は、例年通り成人式以降売上が極端に落ち込む時期にあります。 「今の時期は売れない」と考えずに、売れるための準備をこれからの時期に前向きに考え実践に移していただきたいと思います。
最近の小売経営に関するニュースですが、百貨店協会の発表によると昨年12月度も11年連続の昨年度割となっており、食料品の販売についてもわずかながら昨年度対比を割り込む結果となっています。
ただ、消費動向には、それなりの傾向が見えているように思えます。原油高・商品相場高からの商品値上げなど、日常生活に無駄をなくす消費に消費者は、目を向けているようです。
いままでのような、惰性や習慣による消費から、本当に自身の生活の問題を解決できる商品を探し出し、購入する傾向です。
高いから購入しないのではなく、ベネフィット【benefit】 「利益・恩恵」を感じる商品にだけ目を向けています。
決して、ローコストだけに目を向けているのではありません。小売・サービス業の方々が、取扱い、または、製造販売している商品の多くは、ベネフィットの追及している商品と考えられます。
ただ、問題は提供する小売・サービス業の方々が、消費者に商品の利益・恩恵を意識した商品仕入れや製造、そして販売を実践しているかです。
消費者に商品を通じて、消費者の日常生活に利益や恩恵を提供することで、お金と商品の交換の場として、皆さん方小売・サービスのお店があるのです。
当然、そこにはお客様である消費者の価値観の違いがありますが、難しく考えずに現状のお客様の価値観を捉えればよいと思います。
顧客獲得、需要創造から顧客維持(Customer Retention) へ (2018.1.5)
例えば、あなたが自動車販売のディーラーだったとする。そして今月中に新車をあと3台売らなければならない。そんな状況で、あなたは担当エリア内のまったく面識のないお宅の玄関をノックするだろうか。想像しただけでも苦痛である。きっと、以前に自社の車を購入したことがある顧客で、かつ購入後数年経過している顧客をリストアップし、集中的にセールスをかけるであろう。潜在的に既存顧客へのアプローチの方が効率のよいことを知っているからである。
冷静に考えれば当たり前かもしれない。過去に購入実績があるのだから、すでに自社に対してある程度の親近感を持っている。さらに営業マンとも面識があれば、お互いに信頼感を持って会話ができる。車のような高額商品の営業プロセスにおいては重要なポイントである。既存顧客へのアプローチの方が効率がよい。言い換えれば収益性の高い営業活動が実現できるのである。
しかし、これには一つだけ落とし穴がある。既存顧客が、自社の商品・サービスに満足しているというのが条件である。以前に購入した車が度々故障し、さらにその際の顧客対応が非常に悪かったとすると、絶対に次には他社の車に乗り換えてしまう。こんな当たり前のことにようやく企業が気づき始めた。顔の見えない見込み顧客獲得のために経営資源を投入するだけでなく、顔が見える既存顧客を維持する活動も重視すべきだというのである。これが今日のマーケティングの新潮流となっている、「顧客獲得、需要創造から顧客維持(Customer Retention)へ」というものだ。
従来の顧客獲得、需要創造を主目的としたマーケティングは、「顧客をセグメント化し、それにあわせて商品・サービスをポジショニングし、最適なマーケティング・ミックスを実現すること」であった。
例えば、新しいパック旅行商品を開発しようとしている旅行代理店であるならば、「東京都内に住む30歳代の独身女性で、年収が700万円を超える顧客層には、価格にはこだわらないグルメをテーマとした海外旅行商品に非常に敏感に反応する」という調査をもとにターゲットが決定され、マーケティングコンセプトが立てられる。すると、このコンセプト(仮説)に基づいて商品が開発され、価格が設定され、広告が打たれ、適切なチャンネルで販売されていく。
こうした従来のマーケティング手法に対し、顧客維持型のマーケティングとは、不確実な「見込み顧客」への働きかけでなく、すでに自らの企業とコンタクトを持っている「既存顧客」との関係強化により、利益の最大化を図るというマーケティング活動である。これは、新規顧客獲得のためには市場分析を元に細かいターゲティングを行ない、それぞれに多大なマーケティング投資を行う反面、既存顧客には均一的なサービスしか提供してこなかった反省から、90年代に生れた考え方である。
市場が拡大し続けているうちはよいが、成熟すれば限られた顧客の取り合いになり、奪われた企業から見れば既存顧客の流出となる。新規顧客の獲得で補える間はよいが、解約・離反顧客が上回ると大きな収益性の悪化を招く。新規顧客獲得という行為が重要でなくなったわけではない。しかし、経営の限られた資源を新規顧客獲得と既存顧客維持のどちらに振り向けるべきか、トップの意思決定に絶妙なバランス感覚が求められているのは事実だ。マーケティングはより複雑に進化し続けているのである。
日立が10円台のICタグ・伊藤忠が商品管理に導入(2018・4・1)
日立製作所は、同社の世界最小クラスのICチップと、外部アンテナ構成する無線ICタグで1個10円台の新製品を4月から発売する。印刷技術を使って製造工程を短縮し、低価格素材を使用することで価格を従来の3分の1以下に下げた。従来のタグでは、販売価格1,000円前後の商品に導入しても採算が合わないとされてきたが、低価格化に成功したことで普及に弾みがつきそうだ。
日立の新製品は、伊藤忠商事がブランド品の展示商談会での受注システムに、活用することが決まっている。2月に札幌で開催されるスポーツシューズ「コンバース」の商談会の案内状や、商品を注文する際の商品カードにミューチップを付けて入場受け付けや受注などの業務を効率化するほか、物流管理に活用する。
また、日本オラクルは日立と共同で、ミューチップを活用した物流支援システムを開発した。オラクルが開発した地図情報システム用ソフトと荷物や伝票に取り付けたICタグで、荷物がどこにあるかまで単品ごとに管理することが可能になる。
無線ICタグの普及に力を入れてる経済産業省では"5円"タグの実現を目指し、平成16年度には6億5000万円を投じる計画を立てている。コスト削減の道筋はできてきたので、あとは普及による低価格化が待たれる状況になってきた。
販売力強化に立ち上がる老舗百貨店三越の人材教育の行方(2004・4・1)
2004年に株式会社化100周年を迎える老舗の三越であるが、その業績は芳しくない。2003年8月期決算では売上高が前年度上比▲1.8%、営業利益▲13.1%、経常利益▲29.4%(連結)という有様、もはや消費環境のせいにはしていられない。そこで同社が業容挽回の目玉としたのが、セールススタッフの販売力強化である。
昨年秋から「三越リテールアカデミー」と銘打って始まったこの企業内学校は、顧客の視点で売場とサービスを見直そうという同社の全国運動の一環である。講師やカリキュラムはすべて社内の手づくり、外部専門家の知恵は借りていない。たとえば,「商品の発注精度を高めよう」という授業では,実際の販売データをもとにグループで原因と対策について討論を行い発表する。受講者がメーカーと仕入側に分かれて、商談を行うロールプレイング訓練も実施している。研修の最後には、各参加者が自らの具体的な目標を宣言し、全国の現場に帰る。現場に戻った社員はさらに、売場の同僚に体得したノウハウを伝えていく。
この現場・実践主義の研修、これまで全国で1,200人近くの社員が終えている。ともすれば,個人的販売.技能に頼りがちだった百貨店商法のなかで、地道に商いを科学していこうとするこの姿勢、同社の業績挽回の起爆剤となるか、注目したい。
中古車市場制覇を狙うガリバー・二兎を追う戦略を開始(2004・3・29)
ガリバーインターナショナルといえば、中古車の買取りシステムを創ったパイオニア企業である。消費者がガリバー店舗に車を持ち込むとその場で査定してくれ、ガリバーが中古車業者向けオークションで販売する。2004年2月期見込みで12万6,000台を取り扱っている。このように買取り専業でスタートした同社が今、販売に本格参入しようとしている。
基盤はすでにあった。買い取った在庫車両の映像を、顧客の中古販売業者が確認できる「ドルフィンネット」と呼ばれる情報システムを、同社は持っている。これを一般消費者に開放することで、大きな告知効果が得られるのである。車を売りに来店する消費者の多くが、買い換えを前提にしていることを考えれば、自然な事業拡大ということができる。
そこで課題となるのが担当者の能力開発である。買取りの場合はいわば「受け身」の営業スタイル、消費者の来店を待てばよかった。一方、販売のほうは自ら売り込んでいく「攻め」の営業をしていかなければならない。
同社では,全国の直営店200店のなかから、販売強化店舗を選び販売スキルなどを研修する作業を行っている。また、業績評価面でも買取り以上に、販売を重視する政策を採っている。買い取りと販売の二兎を追うこの事業展開、この後いかに推移していくか、興味のわくところだ。
製配販商品マスタの同期化実験開始・効率的な情報流通を目指す(2017・3・29)
日用雑貨や化粧品、食品などの商品情報の規格を統一し、メーカーや卸、小売業界で情報を効率的にやり取りできるシステムを目指す実証実験が始まった。実験には花王やP&Gなど日用雑貨大手のほか、アサヒビール、国分、三井物産など22社が参加、3月まで実施する。
この実験の最終的な目的は、製配販それぞれが情報を共有化する標準システムを構築することで、サプライチェーン全体の効率化を実現しようというもの。実験を推進するのは「製配販商品マスタ同期化プロジェクト」で、データの国際標準化の研究を行った「GCI研究会」に参加した企業の一部が、自主的に立ち上げた。情報化の比較的進んでいる日用雑貨業界が、遅れぎみの食品業界を巻き込む形が注目される。
実験では、酒類・加工食品VANの「ファイネット」、日用雑貨・化粧品VANの「プラネット」の2つのデータベースと、流通向けデータ処理システムWWRE、野村総合研究所が運営するデータ処理システム「ビズマーク」の聞で、マスタデータを相互接続する。
しかし、情報共有化の最大のネックは、小売業が各社ごとに独自の商品マスタを運用していることといわれている。今回の実験でも小売業の協力が一部にとどまるなど、実用化までには課題は大きい。
商店街とNPOが組む新たなコミュニティビジネスを創造(2017・3・22)
主体は、訪間介護事業を手掛けるNPO「たすけあい泉」(横浜市)、障害者の地域作業所を運営する「ジョイカンパニー」(同)と近隣の「なかだ商店会」(同)。商店会からは洋菓子店、生花店、書籍店、靴店、インテリア店、薬局などが参加する。仕組みは、「たすけあい泉」が会員の高齢者から事前に配布したカタログによって電話などで注文を受け、各商店に取り次ぐ。商品は「ジョイカンパニー」が集め注文者の自宅に'配達するというもの。配送料は1回200円で「たすけあい泉」が受け取り、「ジョイカンパニー」は商品代の5%を商店側から受け取る。
客離れに悩む商店街、高齢化で外出が困難となっている地域住民の間を、NPOが仲介するビジネスモデルである。まだ試行錯誤の段階で、効果云々を論評する段階ではないが、コミュニティビジネスのひとつのあり方として、注目するべき存在といえそうである。
電子マネーでソニー規格が広がる・KDDI,みずほ銀行が採用を表明(2017・3・22)
KDDIは携帯電話本体に差し込んで使う、ICカードの開発を始めた。携帯電話をクレジットカードや電子マネー、電車の乗車券として使えるようにする。ICカードはソニーのICカード規格「フェリカ」を採用する。KDDIは、まず駅の自動改札機にかざすだけで乗り降りできる携帯電話を、今年後半を目途に売り出す計画。すでに、JR東日本と実用化に向けた検証作業に入っている。
一方、キャッシュカードのICカード化でみずほ銀行が、ソニー系の電子マネー「エディ」の採用を決めた。新キャッシュカードは社員証、指紋認証などの機能を盛り込んだ企業向けの多機能カード。これまで社員食堂や会社の所在するビルなど、特定の場所でなら使える電子マネー付きキャッシュカードはあったが、広く一般の店舗で使えるタイプはみずほ銀行がはじめてとなる。
ソニー規格はNTTドコモも採用を決めており、携帯電話向けICカードの業界標準を握ると見られている。
日販が雑誌販売で書店を支援・定期購読の管理業務を代行(2017・3・15)
書籍取次最大手の日本出版販売は、1月20日から全国約500店の書店で雑誌の定期購読を受け付け、自宅や会社など全国どこにでも無料で配達する「マガジンエキスプレスサービス」を開始する。書店ごとに行っている顧客管理や商品の配送、伝票の起票、代金の回収といった定期購読にかかわる業務を日販で代行し、書店の手間を減らして積極的な定期獲得につなげてもらい、最終的に雑誌の取扱い数増をねらう。
具体的には、書店は日販が用意しカタログをもとに雑誌定期購読の注文を受け付け、代金を受け取る。定期購読の予約データを日販に送ると、日販が書店だけでなく顧客へ直接の配送も請け負う。書店との決済は、雑誌定期購読用に用意された口座で行う仕組み。
雑誌の定期購読はニッチな市場でるが、書店店頭では埋もれがちな専門誌への二一ズは大きく、その市場性に注目が集まっている。この市場へは、出版社自身が読者情報をダイレクトに得られることから直接販売を強化しており、書店や取次は「中抜き」の恐れもある。トーハンも同様のシステムを検討中であり、大阪屋でも3月を目途に、書店店頭とインターネット上で申し込みできるシステムを稼働させるとしている。
クロスMDで相乗効果を狙う!活発化する食のコラボレーション(2017・3・15)
大手食品メーカーを中心に、食品のクロスマーチャンダイジング(MD)が活発化している。小売側も買上点数の増加が期待され、歓迎の様子。商品単価の下落が続くなか、新たな販促策として多様なコラボレーションが実現しつつある。
ロッテは青果卸会社や商社と組み、新しいチョコレート需要を開拓中だ。チョコレートを牛乳で溶かし、キウイなどの果物をつけて食べる「ガーナフォンデュ」。スーパーの青果売場において、果物との組み合わせ販売を開始した。昨年のバレンタインデーに行った「ガーナミルクチョコレート」での同様の試行クロスMDでは、通常の7倍もの売上があり、新商品で本格化させたいとしている。
メルシャンと紀文はワインとおでんで共同販促を実施した。取組みは、料理研究家を交え、おでんのオリジナル料理とそれに合うワインを紹介するというもの。ワイン市場が頭打ちするなか、この販促により前年より10%以上売上を伸ばした。メルシャンは今後、ワインの販売強化に向け、酒類売場以外での販売場所を小売店内に求めていく戦略。いろいろな形での食のコラボレーションを仕掛けていきたいとしている。
調味料と野菜・肉などのクロスMDは旧来からの手法で、小売業界では目新しいものではない。しかし、小売業界内で価格競争が激化するなか、商品単価が下がるのは食品メーカーにとってマイナス要因。単価の下落を防ぐ意味でも、クロスMDへの期待が高まっている。
デジキューブが破たん・流通革新、市場低迷で限界に(2016・3・8)
大証ヘラクレス上場で音楽・ゲームソフト卸販売のデジキューブは、11月26日東京地裁に自己破産を申し立て、同日破産宣告を受けた。国内のゲーム市場の縮小傾向に加え、コンビニエンスストアに設置した情報端宋事業からの撤退で財務体質が悪化、資金繰りに行き詰まったことが直接の要因という。
デジキューブは、それまで玩具店や家電量販店などで販売されていたゲームソフトを、コンビニエンスストアで予約販売する仕組みを打ち出し、消費者の利便性を高めた流通革新企業だった。人気ソフトを、徹夜で量販店に並ばなくても購入できるようにした功績は大きいといえよう。しかし、消費者がポイントサービスによる割引販売がある大手量販店でゲームソフトを買うようになったこと、さらに、インターネットで試供品を見ながらオンラインで購入できるようになったことなど、流通チャネルが消費者起点で大きく変化した状況に対応できなかった。
一方、コンビニエンスストアの急激な店舗増加は、デジキューブの在庫を膨らませ財務内容を悪化させた。すでに、コンビニエンスストア側でもゲームソフトに魅力を感じなくなっており、商品力のみに依存した卸ビジネスの限界を露呈した形となった。
生産履歴管理に認証制度・JASに新基準(2016・3・8)
農林水産省は2005年を目途に、生産履歴を正確に管理・開示している農産物を認証する制度の検討に入った。JAS(日本農林規格)に新基準を設け、認証マークを発行。消費者が安全性を店頭で確認できるようにする。
新制度はコメ・野菜・果実など、原則としてすべての農産物を対象とする予定である。現在も大手流通業者などが独自に生産履歴の開示などを行っているが、統一した基準がないため、消費者にはわかりづらいとの判断から認証制度を打ち出した。店頭で端末機械に識別番号を入力すると、生産者名・住所・収穫・出荷日のほか、農薬や肥料などの履歴が確認できることが最低基準となるもよう。財団法人やNPOなどの民間団体を認定機関とし、認証マークを与えるとしている。
食の安全確保への声が高まるなか、情報開示への期待は膨らむ。しかし、一方では輸入農産物のほとんどが生産履歴を開示できる状況にはなく、海外からの反発も予想される。国際化の波とのせめぎ合いの部分も見逃せない視点である。
クラヤ三星堂が医薬卸2社と統合・医薬品卸再編が活発化の様相(2014・3・1)
医薬品卸最大手のクラヤ三星堂は、東証2部上場で九州を地盤とする同業のアトル、中国地方を地盤とする同業のエバルスの2社と経営統合すると発表した。3社は2001年11月に経営全般にわたる業務提携を行い、統合を視野に入れたインフラ整備に注力してきた。それがいよいよ実現するもので、2004年4月に株式交換で2社を完全子会社化し、10月にはクラヤ三星堂を事業持ち株会社とする「メディセオホールディングス」を設立して、3社をメディセオの完全子会社とする。給与格差等の問題があることから、株式交換制度、企業分割制度を活用、医薬卸事業を「クラヤ三星堂」を商号とする新設会社に継承する形を採った。
クラヤ三星堂はこの経営統合により手薄だった中国、九州地方にエリアを拡大、全国展開を加速する。同時に、全国8ヵ所にある既存の物流センターを5ヵ所に集約する計画を打ち出している。今後、未進出の四国地方、シェアが低い北海道、東海地方、東北地方に対し積極的な展開を目指すことを表明している、同社を軸にした医薬品卸業界の再編成が活発化しそうな状況である。
寒さで糖度が増すホウレンソウ・栃木県小山農協の試み(2014・3・1)
寒くなればなるほど甘さが増すホウレンソウがある。「ちぢみホウレンソウ」といい、東北地方で細々と栽培されていたが、栃木県の小山で新たな産地化が進められている。
「ちぢみホウレンソウ」が小山で作られるようになったのは、東京の大手青果卸からの打診がきっかけ。小山の特産品であるかんぴょうが中国産に押されるなか、冬場に使わない農作地の有効利用という点からも魅力があり、農協が生産に踏み切った。当初は12名の生産者で始めたが、現在では60名を超えた。「ちぢみホウレンソウ」は気温が低いほど糖度が増すことから付加価値も高く、需要も安定しているという。生産者は出荷調整なども必要なく、最近は転作希望者が急増中とのことである。
また、かんぴょうに比べ軽量で高齢者でも栽培しやすいため、生産者の高齢化への対応という面からも期待されている。
ただし、種苗会社などがいろいろと指導にあたってきたが、まだまだ育成ノウハウの蓄積ができておらず、課題は多いとのこと。さらなる発展に向けた取組みはこれからのようだ。
ギフト券発行代行サービスが広がるクレジットカード各社の新たな試み(2013・2・23)
クレジットカード各社が小売店などと提携し、専用商品券の発行に力を入れている。クレジットカード会社が販売している商品券と機能は同じだが、小売店のロゴマークを入れたり、全く新しいデザインを採用し、独自性を演出している。
日本信販は相次いで小売業と提携、発行代行事業の強化に乗り出している。まず、沖縄のアイスクリームチェーンである「フォーモストグルーシール」,10月にはドラッグストアの「コクミン」,11月に食品スーパーの「みしまや」,12月には「ジョイフル本田」の商品券を発行した。
三井住友カードは、眼鏡専門店チェーンの「メガネトップ」や、沖縄県のアウトレットモール「あしびな一」の商品券の発行を始めた。また、JCBはすでにヨドバシカメラなど9社と、それぞれのチェーン店限定使用の商品券を発行している。
商品券は贈られた先が顧客として定着する可能性もあり、小売業にとっても販促効果が大きい。しかし、小売業が自前で発行するにはシステム構築などの初期投資や維持管理費用、供託費用などのコストが必要。さらに、財務局への届出や報告など煩雑な業務がある。クレジットカード各社はこうした業務を一括して代行し、商品券が使用された分の手数料を受け取る仕組みを考案、展開を始めた。今後の取組みの広がりに期待が高まる。
日本経済再生への希望・わが国産業界の潮流変化(2004・2・23)
2003年末に明らかとなった税制改正や年金制度改革は、増税色の濃い内容であった。このため、日本経済の先行きに自信を持ちがたい状況が続いている。
しかし、わが国産業界で今起きている潮流変化は、希望を持たせるものと考えられる。その1つはデジタル革命である。具体的には、薄型テレビやDVDレコーダー、デジタルカメラといった情報家電の急速な普及が挙げられる。これらは、わが国企業の高度な技術力が集積された久々の大型商品であり、半導体をはじめとする関連業界への波及効果も大きいと推測される。この分野では、わが国企業が世界企業を大きくリードしており、今後の展開が注目される。
もう1つは中国の高度成長である。中国は世界の供給基地および消費市場として存在感をますます高めている。鉄鋼をはじめとするわが国の素材産業の復権も、中国の高度成長に支えられている。中国を中心とするアジアで、日本製品の優秀さや「モノづくり日本」を評価する動きもある。中国の高度成長の継続は、わが国産業界にも大きな恩恵をもたらすものと考えられる。
これらの潮流変化は、久しく待望されている日本経済再生に貢献するものと期待される。
わが国経済は緩やかな回復継続・輸出と設備投資がリード(2004・2・16)
わが国の実質GDP成長率は、年率ベースで2%程度の緩やかな回復が続くと見込まれる。この要因としては、以下の2点が挙げられる。
まず、回復基調の米国経済の恩恵を受け、世界経済も回復ベースを高めてくる。次に、このような世界経済の動きから輸出関連の生産や企業収益のモメンタムが再度強まり、設備投資の拡大が持続する。
中長期的な観点からは、これまでの企業部門の債務圧縮や固定費削減に象徴される財務体質・収益力の強化により、構造問題の下押し圧力が以前より軽減されている点である。反面、これは家計部門を抑制する要因であり、今後もこの基調は弱まったとしても継続しよう。さらに、年金制度改革に伴う負担増が家計部門を圧迫するため、景気回復をリードするのは、企業部門と考えられる。
こうしたなか、金融政策は引き続き量的緩和政策が継続される見通しである。日銀は2003年秋に、「量的緩和政策継続のコミットメントの明確化」を発表した。そのなかで、消費者物価の前年比伸び率が基調的にゼロを上回り、先行き再びマイナスとなることが見込まれず、これらが満たされても経済・物価情勢によっては量的緩和を継続するとしている。2004年度にかけても消費者物価上昇率は、マイナス幅が縮小するものの、マイナス基調が持続するため、量的緩和政策が解除される可能性は低いと考えられる。
TMO 尼崎が郵政公社と提携・商店をまとめてゆうパック割引(2004・2・14)
商店街の活性化や共同事業に取り組んでいるTMO尼崎は、日本郵政公社近畿支社と、兵庫県尼崎市内の店舗を対象にした宅配便事業で提携した。毎月1,000個以上の配送を発注する大口顧客の割引料金を、TMO尼崎が商店をまとめて事務を代行することで適用する仕組みを構築した。
具体的には集荷と配達を郵便局が行い、加盟店の取りまとめや料金請求などをTMO尼崎が担当し、事務手数料を受け取る仕組み。TMO尼崎の前身は「尼崎中央・三和・出屋敷まちづくり」。2002年に尼崎市が出資して第3セクターに改組し、商店街の共同キャンペーンや各種補助金の受け皿会社として事業を行っている。
一方、日本郵政公社はヤマト運輸などに大きく引き離された宅配便の取扱いを増加させるべく積極的な営業姿勢を見せている。ローソンとの提携を発端に、コンビニエンスストアヘの攻勢を特に強め、シーアンドエスとも提携、シーアンドエス店舗への郵便ポスト設置を決めた。しかし、郵便ポストの設置の本来のねらいはゆうパックの取り扱い拠点の拡大にあるといわれている。今回の試みもその一環と思われる。
米国の回復色が政策効果で強まる・年後半は巡航速度へ(2004・2・9)
米国のブッシュ大統領は、低金利と減税、ドル安容認といった経済政策により、2004年11月の大統領選挙での再選を目指している。
これを受けて、米国経済は個人消費と設備投資を両輪とした回復基調が強まっている。今後についても、経済政策の効果に加えて惰報関連投資を中心に、設備投資の堅調が維持される見込みである。これらを勘案すると、2004年の実質GDP成長率は2003年の同3%程度を上回る3%台半ばに高まるものと予想される。
しかし、以下の点から個人消費の伸びは2004年後半には鈍化すると考えられる。まず、所得税減税を中心とした滅税のピークが2004年第2四半期に来る。次に、低金利を背景にした住宅ローンの借り換えや住宅を担保とした貸出しの増加が、一巡する点が挙げられる。ただ、回復が遅れている雇用惰勢に改善の兆候があることから、消費マインドの改善が下支えとなり、消費が大きく減速するには至らない見通しである。
女性宅には女性スタッフを派遣「安心・安全」のサービスが増加中(2004・2・7)
パソコン関連機器の開発・製造・販売および関連サービスを手掛けるバッファローは、インターネット接続設定の出張サービスで、女性には女性スタッフを派遣する「レディース設定サービス」を開始した。自宅に男性サービス要員を入れたくないという女性の個人ユーザーの不満を解消することで、新たな顧客を開拓する。具体的には、無線LANの設定、LANカードの接続、メール環境の設定などのほか、パソコン関連機器との接続なども実施する。
一方、シャープも自社家電製品の出張修理サービスで、やはり女性技術者によるサービスを始める。対象は、液晶テレビ、DVDレコーダー、ファクシミリといった女性が持ち運べる商品とした。家電製晶の小型・軽量化が進み、女性でも対応できる製品が増えてきたことから、新サービスを実施することにした。
個人宅への出張サービスには、宅配便、カーテンの据付け、壁紙の張替え、電気工事などさまざまなサービスが考えられる。女性による派遣サービスは、新たな市場を開拓する可能性がある。
クレジットカード会社の新戦略 美容院市場への参入が相次ぐ(2003・3・31)
JCBは東京都美容衛生同業組合と提携,クレジットカード加盟店として取り込みを始めた。クレジットカード利用者に対して利便性を高めると同時に,美容院等に対してインターネットを使った仕入合理化などの経営支援サービスや,顧客管理システムなどを提供して加盟店になるメリットを訴える。
ジャックスもまた美容サービス市場に参入した。3月から美容資材販売のケアビューティー,JTBと共同で美容室に対して顧客向けクレジットカード発行を支援するサービスを始めた。まずケアビューティーが,シャンプーなど美容資材を供給している全国の美容室を対象にカード発行を促し加盟させる。そして,JTBが運営する決済情報処理ネットワークに接続している,販売承認端末を貸与する仕組み。
美容サービス市場は,1回のサービス料金が8,000〜1万円と比較的高額であるにもかかわらず,カードを利用できる店は少ない。個人営業が中心で大手のシェアが低いためだが,クレジット各社の攻勢でカード決済可能な店が増加しそうである。
産地と商店街がコラボレーション 産地発ジョイントマーケティング(2003・3・24)
吹き荒れる消費不況のなか,比較的好調な分野は食品である。なかでも特徴や個性のある「ふるさと産品」が喜ばれている。良質の商品には消費者の財布の紐も緩むようだ。
このようななか,商店街と産地による新たなマーケティングが始動しつつある。北海道・旭川の風連町商工会が,東京・杉並の南阿佐谷すずらん商店街のなかに開店する「風連町東京アンテナショップ」がそれ。
同ショップは,すずらん内の33m3の空き店舗に産地側のスタッフが常駐し,特産品を持ち込み通年営業する。出店・運営は,杉並区や東京都の補助事業を活用し,商店街が経営主体となり人件費や店舗使用料を負担する。
当初は菓子やワインなどの日持ちのよい産品を販売するが,−軌道にのればメロン,ジャガイモなどの農産物など,品揃えを増やしていく。将来は,店舗を通して地域宅配なども展開していく計画があるという。
進化するコンビニオフィスユースをターゲットに
!(2003・3・17)
快進撃を続けてきたコンビニもやや息切れの様相を見せつつある昨今であるが,そのなかで新たな戦略を模索する動きが出てきた。
エーエム .ピーエム .ジャパンは,ビジネス支援機能をもつ新業態店を「汐留シティセンター」(東京・港区)にオープンさせた。従来のコンビニにプラスして,コピーや名刺作成,製本などを手がける。同社はこれまでもビジネス支援型コンビニを開業していたが,業務の大半は専門業者への取次が中心であった。
今回の新店舗には,大型出力機などを設置して常時4 〜5人の専任スタッフを配備する。提供するサービスは,チラシの作成,企画書の作成など多岐にわたる。また,パソコン席(有料)も設けて来店者の便宜にも応える。コンビニ部分はこれまでと同様である。便宜性というコンセプトのもとに,ノウハウの蓄積のあるコンビニをコアに新たなビジネスを開拓しようとする試み。
パソコンの普及により印刷物を従来の印刷業者に依存せず,自社作成しようという動きが高まりつつある。そのような時代の風を意識した戦略とみられる。
ユニクロ不振の理由はどこに?劣勢挽回のポイントを探る(2003・3・10)
消費者の約37%が,ここ1年間でユニクロでの購入金額を「減らした」・「全く買わなくなった」と答えていることが日経産業消費研究所の調査でわかった。
ユニクロを展開するファーストリテイリングが発表した2002年9 月〜2003年2月期(上期)決算では,前年比で売上が73.2%,客数が83.8%,客単価が87.4%となっており,業績不振が客離れによるものであることを裏づける形となっている。
では,ユニクロから離れた客はどこへ向かったのだろうか。上記のユニクロ離れを起こした消費者に,ユニクロ以外で購入金額を増やした店を複数回答で聞いたところ,「ギャップ」が16.1%,「無印良品」9.7%,「しまむら」9.4%などとなっている。同調査では,ユニクロの印象についても聞いているが,それによると「とても安い」,「品質が良い」などが挙げられている。一方で「個性がある」などは低い評価でしかない。
割安性でこれまで買われてきたユニクロの特徴が浮かび上がっている。したがって,飽きがきてその優位性が減少すると,他の店に移られてしまうという結果となるのである。
ただし,同チェーンにも好材料がないわけではない。冒頭に指摘した,ここ1年間での購入変化についてのアンケートに,「購入金額を増やした」が4,5%,「従来と変わらない」35.0%となっている。すなわち,全体の4割近くからは支持を失っていないということ。
これらの顧客をベースに,的確なマーケティングを展開することで劣勢挽回も夢ではない。
ネットリサーチが成長中 ネット事業の収益源となるか?(2003・3・3)
ベネッセコーポレーションは,女性向け電子掲示板サイトを利用したマーケティング調査事業を始めた。顧客企業の製品に関係があるテーマについて消費者が掲示板に書き込む会話を,テキストマイニングソフトを使って解析する。
ファミリーマートでは,店頭情報端末機を活用した消費者調査事業を開始した。メーカーなどから調査を請け負い,端末機で回答した客には買い物に使えるポイントを提供する仕組み。店頭の販売データも併用し,調査から企画・販売促進までを支援するコンサルティング事業に育てる。
東芝グループのニューズウオッチは,ポータルサイト Iフレッシュアイ」にアンケートコーナーを設けた。消費者の参加を募り新商品を開発するコーナーなど,メーカーを中心に利用を呼びかける。
標本に偏りがあるとはいえ,低コストであり,結果を得るまでのスピードの速さからネットリサーチが活発に利用されつつある。郵送法などと違って非常に安価な景品でも驚くほど多数の標数が回収できるなど,一度ネットリサーチをするとやめられないという。ネット事業を展開する事業者の新たな収益源としても注目されている。
麺類の価格破壊者が登場外食産業に新たな嵐(2003・2・21)
飲食店を運営するディー・プロジェクトは,讃岐うどんチューン「さぬき小町うどん」の店舗数を2004年6月までの1年半の間に,現在の8店から100店へ一気に拡大する。素うどん100円という低価格を武器に,強力な集客力を持つ店をつくる。
390円ラーメンの幸薬苑などの低価格ラーメン店が出席攻勢を明らかにしているが,180円ラーメンで今年60店の出店を計画しているのはラーメン一番本部。
同社は子会社のキッチンカトーで麺,スープ,只イオを生産して店舗に配送するセントラルキッチン方式を取っている。自社生産によって材料費を低く抑え,目抜き通りから外れた立地に低コストで出店することで低価格を実現した。折からのラーメンブームで高級ラーメン店が多くなってきているなかで,180円という低価格が集客力を発揮,立地の悪さを相殺してしまうという。
一方,ざるそばを100円で提供するのは海鮮レストランの海鱗丸大通店(札幌市中央反)“北海道内の各地のそば粉を月替わりで使用し,同店の目玉商品にする。
価格が硬直化していた麺類における価格破壊者の攻勢は,外食産業に新たな嵐を呼びそうな予感がする。
24時間生放送で売上倍増? テレビビショッピングは不眠です(2003・2・14)
米国や韓国では,最近テレビショッピングが急激な成長を遂げつつある。高級品が人気を得ておりテレビならではの臨場感や商品説明のわかりやすさがその人気の要因となっている。
こうしたなか,国内テレビ通販大手のジュピターショップチャンネル(束京・中央)は2005年度をめどに国内初の24時間生放送を開始ずると発表した。本社社屋に隣接して8階建てのビルを建設し,スタジオ,制作室などを設ける予定。メーカーのデザイナーや代表者らが出演て商品を説明し,視聴者からの電話での質問も受け付ける。
全国226のCATV局およびCS放送のスカイパーフェクTV を通じて,30〜50代の女性をメインターゲットに,国内外のジュエリー・化粧品・アパレルなどを販売する計画。
現在は,生放送の時間を週111時間にとどめているが,働く女性の増加に対応し24時間生放送に切り替える。
同社は,米国最大手のテレビショッピング専門局であるホームショッピングネットワーク社と提携し,1996年にこの事業を開始した。昨期
は250億円を超える実績を残したが,5年後には倍の520億円の年商を目指す。
中食市場こかけるスーパー業界惣菜戦争ぼっ発か(2003・2・7)
相変わらず出口の見えない消費不況,米ウォルマートの進出に代表される競争激化のなか,スーパー各社が打開策の目玉としているのが総菜などの中食市場である。
マルエツは,名刺サイズの容器に2種類の総菜が入って100円という商品を販売している。少しだけいろいろなおかずを食べたいという試食感覚で,顧客の心理をくすぐろうという戦略である。白然志向のポロロッカ(東京・新宿)でも専門店なみの数十種類の品揃えで好きなおかずを好きな量だけ買うことのできる総菜バイキングを始めた。
家計調査によれば,中食の1・世帯当たりの消費額は,2001年には10万円を超え2002年も過去最高水準で推移している。中食の市場規模は約6兆円,これが2010年には10兆円以上になるものとみられている。
ある調査によると中食市場の担い手となっているのは高齢者と女性だという。また,男性が勤め帰りに晩酌の友にと買い求める場面も見られるようになってきた。
この成長市場では外資などに比べ,日本人の嗜好を熟知する国内の小売業はより有利な位置にあるはず。中食市場をねらう動きが,ますます強くなることが予想される。
国内最大級の市街地再開発「六本木ヒルズ」4月オープン(2003・1・31)
東京都心部で,このところ大規模市街地再開発が続いている。昨年9月に東京駅前に丸ピルが完成。12月に入って汐留地区にカレッタ汐留が開業した。
森ピルが開発を進めている「六木木ヒルズ」はこれに続くもので,民間で最大級の市街地再開発事業で総事業費2,700億円のビッグプロジェクト。
約11.6IIaの用地に,計11棟のピルが建ち並ぶ。中心となる地上54階建ての超高層オフィス棟「六本木ヒルズ森タワー」の延べ床面積は,丸ピルのほぼ倍になる。
このほか,総戸数800戸の賃貸住宅「六本木ヒルズレジデンス」,9つのスクリーンと2,100席を持ちレストランも併設するシネマロンプレツクス,ホテル「グランドハイアット東京」のほか,テレビ朝日本社も入る予定だ。
森タワーの4卵皆以上は森美術館,会員制クラブがあり,また各ビルの低層階部分には約200の商業店舗が展開される。丸ビルは9月のオープン後2カ月で来場者500万人,売上高63億円,カレッタ汐留は開業4 日間で16万5,000人の来場者があった。六本木ヒルズでは,来場者1日10万人を見込んでいる。
ポイントサービスのインフラ拡大POSとネットが連動?(2003・1・24)
インターネット十.の特典ポイント交換サービス会社のジー・プランは,東芝テックとポイント交換サービスと販売時点情報管理(POS)システムの連動ビジネスで提携した。
ネット上でのサービス利用やオンラインショッピングで提供されるポインサービスが実際の小売店舗での購入にも提供され,また交換できるようになる。今回の提携により,東芝テックのPOSシステムを導入した店舗がジー・プランのパートナー企業G7社のポイントサービスを活用できるようになる。
具体的には,消費者が実際の店舗で商品を購入するとポイント発行データが東芝テックのデータベースを経由してジー・プランのデータベースに登録される。
消費者は店舗に設置された情報端末機を使って,店舗で得たポイントをジー・プランの共通ポイントに交換できる。この共通ポイントは,さらにジー・プランのパートナー企業のポイントとも交換できる仕組みだ。まず,東芝テックの主要顧客であるショッピングセンター向けに展開し,さらに中小の小売店にも売り込んでいく。
ネット上で特典ポイントを発行するサービスは,商社などが参入して市場が拡大している。ジー・プラン確認翻然よる難語拡大も一昨年2月し博報堂や住友商事などが出資して設立した会社。実際の店舗での活用で利用拡大を図る。
ゼンショーがM&A戦略を加速焼肉チェーンの出店攻勢も強まる(2003・1・14)
牛丼店「すき家」を展開するゼンショーは,ダイエーの外食子会社でハンバーガーチェーンのウエンコジヤバンとファミリーレストランのビックボーイジャパンを買収した。
ゼンショーはここ数年M&A戦略を加速しているo BSEの影響を受け本体の牛井店が低迷するなかでのM&Aと見られていた。2000年7月にはファミリーレストランのココスジャパンを,2002年にはココスジャバンを通じて西洋フードサービスの120店舗,12月には大和フーズを買収した。
これにより単純合計したグループ売上高は1,000億円を超えた。ファミリーレストラン部門に限れば,すかいらーく,ロイヤルに次ぐ業界3位に洋tする。規模拡大に伴い,資材や食材の共同社入などによる効率化を目指すようになってきた。
一方,BSEによるいわば冬の時代を耐えた焼肉店チェーン各社は相次いで出店スピードを加速しはじめた。レインズインターナショナルでは,2003年12月期にフランチャイズチェーン店を含め過去最多規模の約200店舗を出店する。焼肉のさかいも4月末までに関東圏を中心に約60店を出店する。
各社が出店に蟻じたのはRSE の影響が薄れてきたと判断したためであるが,客離れご持ちこたえられなかった中小店の撤退から出店余地が広がったことも大きい。
生協で「ジャストインタイム」モノづくりの手法で効率アップ!(2003・1・17)
モノづくり日本の経営手法として世界に冠たる「ジャストインタイム」,これを小売業で導入しようという動きがトヨタ生協で始動している。
競合するスーパーとの商戦のなかで,売場面積が比較的小さい生協店舗はどこでも苦戦しているのが実態。トヨタ生協でも状況は同じ。そこで規模でかなわなければ,客が欲しいときに欲しいものが常に売れる量だけあるような店づくりをしようと「ジャストインタイム」に着目した。
昨年夏から実験店で始まった改善活動は,まず総菜の現状分析から。浮かびあがった最大の問題点は,何をいくつ作るかが担当者の勘で行われ,その結果作りすぎや品薄が頻発していたことであった。そこで常に売場になければならない個数を商品ごとに決め,数値を値札カードの裏に記入し責任者が巡回する。
そして売れ行きを確認し,その数値を下回ったら補充指示を出すというあのカンバン方式を採用したのである。実験は一定の成果をあげ,同生協ではこれを全店舗・全商品に導入する動きを強めている。
時間延長で売上増をめざす百貨店のターゲット拡大戦略?(2003・1・10)
昨年秋から百貨店各社で閉店時間を延長する動きが広がっている。東急東横店(東京):1時間延長で午後9時,札幌西武
30分延長で午後8時30分,ヤマトヤシキ加古川店:1時時間延長で午後8時,などである。
はたしてその営業効果はどうか。昨年9月から営業時間を30分延長した高島屋東京店,9月の午前10時から午後6時までの売上高は前年比4%減に対し,午後6時からの売上高は13%増になったという。
10月も6時以降は,17%増加した模様だ。9月に閉店時間を午後9時にした大丸東京店でも全営業時間の売士上が9月には前年比7%増と高い実績を確保した。一連の営業時間延長策は効果があったといえる。
ただし,単るご営業時間を延長しただけにとどまらず各種の販促効果も見逃せない。たとえば小川急新宿店では,チョコレートや化粧品サンプルの無料プレゼントなどを午後6時以降に行い,時間延長をアピールする限定サービスを行っている。先の高島屋東京店でも店内喫茶店のケーキセットを100円引きにするなど,各社あの手この手で工夫を凝らしている。
期間を限定したり,平日だけに絞ったり各社の営業時間延長戦略はさざまであるが,帰宅途中のOL などを呼び込み,業容拡大につなげようとする百貨店各社の新戦略である。
吉野家が中華宅配に進出 牛肉消費「100%回復せず」(2002・11・29)
吉野家ディー・アンド・シーは、中華料理の宅配事業に進出する。上海エクスプレスワールドワードからフランチャイズチェーン店を含め、30店舗の営業権を3億5500万円で買い取った。今後首都圏を中心に展開する。
宅配事業に進出するにあたり同社は、提携先で宅配ピザ事業を展開しているストロベリーコーンズから販売管理システムの提供を受ける。上海エクスプレスワールドワードは、厳密なマーケット調査やその結果に基づいた収支計画ができていないため、ストロベリーコーンズのノウハウを応用する。
吉野家はこれまで寿司やたこ焼きなど、多角化を進めてきた。今回もその一環で、中華宅配に新たな市場性を認めての進出としている。同社は、BSE騒動の影響を大きく受け昨年10月には売上高が前年同月実績の4割まで下落。その後、回復してはきたものの前年の85%前後の回復にとどまっている。同社の決算発表会見で安部社長は、「牛肉を食べない習慣がついた消費者もいるため、完全に元の水準に戻ることはないと思う」と発言、厳しい状況が続いている。今後、本体の牛丼事業については価格プロモーションを強化していくとしている。
設備投資に見る小売業の動向 相変わらずコンビニ強し(2002・11・21)
小売業の設備投資に積極化の動きが見られる。日本政策投資銀校が実施した調査によると、小売業の2002年度設備投資計画額は前年度比で10.1%増になるという。
各業態を見通すと、昨年度活発な増床・改装などで9.6%増となった百貨店業界は、その反動か3.4%減となっている。一方、昨年度41.9%減となったスーパー業界全体では一転して10.5%増と増える見込みである。しかし、その多くはホームセンターによるもの。HC業界はこれまで地域別に展開していた企業が、合従連衡を伴った生き残り競争時代に突入している。また、今や業界の競争は情報・物流戦略の巧拙の段階に入っていることからその反映とみられる。昨年度15.7%増と高い伸びを見せたコンビニは、2002年度も13.5%増と相変わらず強気の投資スタンスである。大手チェーンのなかでますます強烈となっている出店数の拡大競争、IT部門への投資ニーズ等がその背景にあるものとみられる。
いずれにせよ設備投資の動向は、今後の我が国の小売業の盛衰を占うものだけに眼が離せない。
大丸の利益率が大幅に向上 業務改革の成果が実る(2002・11・15)
マスコミ等で格好の取材対象となる「デパ地下」等を除いて、長期の客離れに悩む百貨店業界の中で大丸の健闘が目立つ。2002年2月期の売上高営業利益率は2.8%とライバルの三越(1.7%)、高島屋(0.8%)を大きく上回る。1998年2月期が0.8%であったので、大きく体質改善が進んでいることがわかる。
この背景にあるのは、1999年から同社が取り組んできた業務改革の効果で、その代表が分業化。包装・レジ作業・修理伝票作成等の付随業務は、別の専門部署が担当し販売員は本来の接客行為に専念する。その結果、総労働時間に占める販売時間は改革前の2倍に増えた。また販売員の1日のアプローチ数、客単価などを指標化することで、販売活動と実績の関係も明確化した。
このように業務を科学の目から見直し、業務コストの削減を行う例は百貨店業界では珍しい。これまで百貨店業界は、豪華な設備と手厚い接客装備が特徴であったからだ。ともあれ、間接業務を極力省力化して、残りの資源を本来の接客業務に集中投入していこうとする戦略。はたして百貨店業界の新しいビジネスモデルとなるのだろうか。
通信販売に新手登場! 定着するかケータイ通販(2002・11・7)
低迷する小売業界で、これまで比較的堅調だったカタログ通販の世界でもデフレの影響が出ている。大手業者では、客単価がここ1〜2年で2割程度減少しているという。カタログやコールセンターをもつカタログ通販では、この客単価の減少が大きな収益圧迫要因となるからである。
そのなかで今、気を吐いているのが携帯電話によるネット販売である。「日経流通新聞」がまとめた2001年度の「eコマース・通信販売調査」では、ケータイ通販が急増していることがわかった。その典型が伸び率トップのインデックスである。同社は「アクセサリー屋さん」というサイトを立ち上げ、希少価値を全面に立てアクセサリーを販売している。
携帯画面には、商品の写真と共にターゲットである女性に訴求する画面構成づくりに工夫を凝らしている。着信メロディ販売を手がけるエクシングは、テレビ番組と連動した楽曲配信を行っている。音楽番組のなかでスポンサー・コマーシャルを提供し、CMを見てアクセスした携帯サイトから販売するという仕組み。
いずれのケースにもいえることは人件費などの間接コストが低くすむこと。サプライチェーンや顧客とのコミュニケーション手法を工夫することで、通販のネックとされる高コスト体質が大幅に改善されることになる。携帯からケータイへ」今後も期待される。
進むウォルマートの対日本戦略、西友の改革がスピードアップ(2002・10・16)
食品産地の偽装問題で物議を醸している西友であるが、そのパートナーの米ウォルマートは、年内に出資比率を33.4%まで増やすこと(現在は6.1%)を決めている。しかし、現場のサイドではすでに日本市場向けの戦略が始まっているようである。
店舗では、消費者にも見える変化が現れている。たとえば、割引セールなどを減らし、日常的に低価格販売を続けるEDLP販売である。同社は、例年5月と6月に実施されていたカード会員の優待セールを今年は中止した。今後も、大幅値引きのセールを減らす方針。また、衣料品を中心に低価格商品を拡充投入していく計画もある。今年から、低価格衣料の独自ブランドに、900円のトレーナー等32品目を追加した。
さらに、今年の夏にはウォルマート社の対日進出を準備する研究チームが、30〜40人規模で組織されたとのニュースもある。チームは、ITを活用した自動発注システムの準備や店舗改装の準備を進めているものと見られる。10〜15店の西友店舗を実験店として、これからウォルマート化戦略がスタートしそうである。
独走するホームセンター、コメリの高収益体質を探る(2002・10・9)
ホームセンター業界に常勝集団がある。新潟県を本拠とするコメリである。2002年2月期の売上高は連結で1,704億円、売上高経常利益率は5.9%。上場以来15期連続で増収増益を達成中である。注目すべき点は利益率の高さで、同業のホーマック3.3%、ケーヨー3.1%等と比較するとその特長がわかる。
同社の強みは、店舗戦略の独創性と優れたIT戦略にある。同社の店舗数は2002年2月期で515店、その85%が「コメリハード&グリーン」と呼ばれる小型店である。主力商品は、回転率の悪い金物・工具類と管理の難しい園芸商品、他の繁盛型HCが扱いづらい商品群をメインとしている。当然粗利は28〜32%と他の日用品等の15〜16%に比べて高い。店舗面積は1.000・、扱い品目は15.000、それをパートを含めて7〜8人で運営している。
こうした取り組みを支えているのが情報物流技術である。たとえば、専用読み取り機で商品のバーコードをスキャンすると即座に売れ行きが表示される。発注データは、オンラインで物流センターに伝達され、小口での商品投入が可能となっている。したがって、店舗には倉庫が無く売場にある商品がすべてである。いわゆるコンビニのシステムと類似しているわけだ。このビジネスモデルの独創性が、同社の快進撃を支えているのである。
わが国の輸出は堅調を持続 アジア向け輸出が主導(2002・10・2)
わが国の7月の輸出額は5月以降、3ヶ月連続で1ケタ台後半の前年増加となっている。一方、7月の輸入金額は12ヶ月ぶりにプラスに転じたものの、同0.6%増と伸び率が低く、貿易黒字は5ヶ月連続で増加している。
輸出入の中身を調べてみると、数量は同15%増と3ヶ月連続で2ケタの伸びとなっている。特にアジア向けは同28%増と3ヶ月連続で20%以上の伸びとなっており、2000年2月の同30%増以来の高い伸び率となっている。米国向けは3ヶ月連続のプラス、EU向けは2ヶ月ぶりのプラスとなったことから、主要地域向けはいずれも増加となった。一方、輸入量は同8%増と3ヶ月ぶりのプラスとなり、2001年1月以来の伸びとなった。低迷状態から一転して大幅増加となったこともあり、一過性の動きの可能性もあろう。
輸出価格指数は4ヶ月連続のマイナスとなっており、ドル安が影響しているといえる。これは、米国向けやアジア向けのマイナス幅が拡大し、EU向けがプラスとなっている点からうかがい知れる。輸入価格指数も10ヶ月連続のマイナスとなっており、輸出価格と同じ傾向がみられる。
輸出入の伸びを要因分解すると、為替要因がマイナスに転じているほか、物価要因もマイナスになっており、今後は数量ベースの拡大や競争力が金額ベースの伸びを左右すると考えられる。
讃岐うどん、首都圏に進出 ブームに火がつくか(2002・9・28)
首都圏に讃岐うどんのチェーンが相次いで進出している。
8月25日に東京・恵比寿駅に開店したのはJR四国の子会社「めりけんや」の「さぬきうどんNRE&めりけんや」。JR東日本系飲食子会社の日本レストランエンタプライズ(NRE)がフランチャイズ契約を結び、食材と店舗運営のノウハウの提供を受けて、NREが運営する。10月には上野駅に2号店を開店する。
香川県内でうどん店を展開している「はなまる」も9月、東京・渋谷に出店した。同社は今年4月から県外への出店を開始しており、今後5年間で300店舗にするという。はなまるは、讃岐うどんの本場で一般的なセルフサービス方式を取り入れ、客にトッピングを自由に選ばせる。
一方、はなまるに出資・提携していた中古書籍販売会社の「フォー・ユー」は提携を解消し、9月から独自の全国展開を始めた。幹線道路沿いを中心に、当面は東京をはじめ新潟などに出店する。
独自の物流システムが生んだ限定商品(2002・9・25)
セブンイレブンは昨年の秋に独自の「チルド幹線物流網」を構築した。メーカーは同社のもつ全国6ヶ所の一括物流センターに商品を納入すると63ヶ所の共同配送センターを通じて全国の9,000店に商品が届けられる業界初の一貫物流の仕組みである。今回、このシステムを利用して発売を開始したのが、キリンビールの「樽生一番絞り」に専用サーバーがセットになった家庭用ビールシステム「樽生方式」である。「つくりたての味を維持するビール」というコンセプトで同社がキリンに開発を依頼したものである。他のコンビニや酒販売店は通常、常温配送された商品を店頭で冷やして売っているが、この商品の場合、工場から店頭まで10度以下で一貫管理が可能となっている。
酒類販売は2003年秋に免許規制が自由化されるの予定で、他のコンビニやディスカウントストアとの競争は激化することが予測される。セブンイレブンは独自のチルドシステムから生まれたこの新商品をテコに、酒類の自由競争をも制覇する勢いである。
ディスカウント業界の元気印 サンクスジャパン(2002・9・18)
総合ディスカウント業界に元気がない。市場規模は約9,000億円程度であるが、ダイクマの家電量販店への業務転換などの影響でマーケットの縮小は不可避と見られる。各社の売上も芳しくはない。70%以上の店が売上前年比ダウンとなっている。
ところがこの逆風下、頑張っている企業もある。一例が「ダイレックス」の名で九州エリアを中心に店舗を構えるサンクスジャパンである。
2002年2月期まで4年連続で増収増益を達成している。既存店売上も5年連続でプラスを維持した。その秘密は、売上高販管費率が10.9%という超低コスト運営である。粗利益は約14%であるが、それでも十分にペイすることとなる。
店内に倉庫はないうえ、POS管理は行なっていない。PB開発商品もない。店舗面積は標準で500u弱、従業員は4〜5人なので、1人が100uを担当すればPOSに頼らずとも管理できるという。
PB商品をあえて展開しないのも、コスト削減策の一環である。粗利益は高いものの開発投資負担に加えて店頭で商品説明をする手間もかかる。メリットに比べてデメリットのほうが大きいという理由からだ。「遊び」的な商品がないため、必要な商品を買うと客はすぐに家路につくので、回転率が高まる。さらに、倉庫の変りに鉄道用コンテナを店の裏に置いて倉庫建設費を浮かしている。
雰囲気のアメニティを求める現代の小売業とは一線を画するこのビジネスモデルが、今注目される。
敵のいない市場 独自路線で勝つイオン(2002・9・11)
「お客様副店長」制の導入など、業績の堅調さに加え革新的な施策が目につくイオン。出店戦略でも、独自の境地を切り開いているようだ。
日経流通新聞の「新・ビッグストア調査」によると、他のビッグチェーンが人口の増加するエリアに新店を構える戦略を採っているのに対し、イオンは人口の伸びが芳しくない「衰退市場」に積極的に出店していることがわかった。
同調査では地域を、自然増減・社会増減で「成長」「停滞」「衰退」「凋落」に分けて、各社の店舗分を調べている。それによると、大手スーパーではイオンを除く4社が70%以上(店舗面積合計)を自然増・社会増の成長市場に立地させているのに対して、イオンは衰退・凋落地域への出店が10%近い比率を占めている。成長市場を攻めるというのは常道であるが、有力な敵のいない残存マーケットに圧倒的な資源投入で制覇するというのもマーケティングの教科書に載っている公式である。その意味で、他社と一線を画するイオンの行き方は興味深いものがる。
女性だけのお楽しみ 女性客獲得あの手この手(2002・9・4)
首都圏のシティホテル各社は、7月から、女性をターゲットとしたサマープランを相次ぎ投入している。通常でも多くのホテルで各室稼働率の落ちる日曜日泊を中心に、レディースプランが展開されている。基本的には割引価格で、化粧品やバスローブ、アメニティグッズなどを女性向きに気配りする場合が多い。
帝国ホテルは、スイートルーム利用にディナー、プール、ハイヤー付きで1室2名各10万円というプランを提案。ホテルオークラは、館内の飲食・ルームサービスに使えるチケットがセットされた1万7,000円の商品を提案。チェックアウトの延長や東京湾クルーズといったオプションも充実させた。ホテル西洋銀座は、スイートルームでの宿泊に銀座最高級のエステサロンの出張施術付きで6万円の商品を提案している。
「女性専用」を打ち出したサービスでは、東京プリンスホテルが最上階にあるラウンジの営業時間を前倒しし、正午から午後3時までの女性専用の時間帯を設けた。阪急百貨店梅田本店では、売場の一角に女性専用のスペースを設け、エステや審美歯科、マッサージなどの女性向けサービス5店を集めた。
武富士がクレジットカード参入 翌日決済、手数料1%(2002・8・28)
消費者金融大手の武富士は今秋の10月よりクレジットカード事業を開始する。消費者金融の利用者である若者の人口減少により、アコムやプロミスなど大手が相次いでカード事業に参入している。後発参入となる同社は、有利な加盟条件で加盟店を募る。
まず、決済条件で翌日決済の仕組みを構築した。加盟店に専用カードを発行し、武富士のクレジットカードの利用があった翌日には、専用カードでATMから代金を引き出せる仕組みだ。加盟店が支払う手数料も業界最低水準の1%に統一した。また、カード決済ネットワークに無線で接続する携帯端末を無償で貸与し、売上処理業務の効率化を実現する。
ターゲットとする加盟店もユニークで、まず米穀店や医療機関など既存カード会社と取引が少ない分野を中心に営業をかける。
武富士は昨秋オリエントコーポレーションと提携、カード事業への参入を明らかにした。しかしその後、オリエントコーポレーションとの提携関係を縮小、単独でマスターカードとライセンス契約を結び独自カードの発行に踏み切った。
一方、同社は今年3月にはローソンからダイエーオーエムシーの株を買収している。
丸紅、大西衣料 中国で初の現金卸事業(2002・8・21)
丸紅は7月17日、衣料品卸の最大手、大西衣料と業務提携し、衣料品、身の回り品の現金卸事業を中国で開始すると発表した。丸紅の現地法人、上海百紅商業貿易有限公司が上海で新たに行う現金卸事業に対し、大西衣料が営業運営ノウハウを総合提供する。両社ではこれを機に、流通、物流分野でさらなる包括的な業提携を行っていく。
上海百紅は、大西衣料のノウハウを生かし、中国で生産された衣料品を小売業者へ販売する。中国では流通業に対する外資への規制があるが、WTO加盟後、3年後をめどに卸と小売業にかかわる外資への規制が撤廃されることになっている。
その間の試験措置として中国政府は、上海、北京、天津、重慶の直轄4都市に限り、1都市1社の合弁会社を認めており、百紅はその1社である。卸売業にとっても今後の大規模な市場として注目される中国で一足先に事業展開する。
一方、大西衣料の子会社で、店舗設計・施工・什器販売などを手がけるセルフ店研は、中国に現地法人を設立した。今秋にもショールームと店舗什器や販促用品等のショップ「ストアエキスプレス」を開設する。商品供給から店舗構築まで総合的な支援体制を整備して中国での衣料品流通事業を展開していく予定で、今後の動向が注目される。
お米も生鮮食品 店頭精米の広がり(2002・8・14)
日本人とお米のつながりは弥生時代からといわれ、長らく主食の座を占めてきた。そのお米も1人当たりの消費量をみるとピークであった昭和30年代の半分程度となっている。一時は、食生活の洋風化の波に押され退潮するかとみられたが、伝統の強さというべきか、ここにきて復調しつつある。
よく知られるように、米はパンなどよりも低カロリー・低脂肪の食品である。アメリカではヘルシーな食材として肥満療法にまで採り入れられていると聞く。
その復活の原動力は質への転換ということになる。端的には、米の売られ方の変化である。店頭精米サービスを導入する小売店が増えている。
今年3月にオープンした大型商業施設「ザ・モールみずほ16」(東京・瑞穂町)内のリヴィン食品館の精米コーナーには、精米機が並んでいる。傍らには各産地の銘柄米が玄米でショーケースに陳列されている。客が好みのブランドとほしい量を告げると、店員が精米する仕組みとなっている。精米度も上白・標準・七分・五分など細かく調節できる。購入量は5kg前後が平均的だという。平均的な家族でほぼ1週間の消費量である。コメにも鮮度があり、]精米したてのものほど美味しいという知識が浸透してきたためとみられる。その意味で、お米も生鮮食品の仲間入りをしたということができる。
いずれにせよ、この動きは今後も加速するものとみられる。
カーコンビニ倶楽部 5,000店へ米韓でにFC展開(2002・8・7)
自動車のスピード修理「カーコンビニ倶楽部」を手がける翼システムが出店攻勢をかけている。同社の計画では、02年3月末の2,900店から1年後に4,000店、2年後には5,000店に加盟店を拡大する。
カーコンビニ倶楽部は車の補修や塗装、整備などを行うサービス業で、全国均一料金と短時間サービスが売り物。最短45分でへこみを直す技術を核に事業展開している。その手軽さから利用者の需要を取り込み成長している。さらに、フロント研修5日間、技術者研修40日間という短期間で技能を習得できるカリキュラムを構築しており、容易に開店できる仕組みも多店舗展開を支えている。
同社では、長く1つの車に乗るスタイルが増加していることから、修理需要の拡大が今後も見込めるとして、店舗拡大を進める。
一方、米国と韓国でも多店舗化を進める。米国へは2000年10月、韓国へは今年3月に第1号店を出店しているが、米国では年内、韓国では来年にもッフランチャイズチェーン展開を開始する。同社は、国内市場は5,000店を一区切りとして、さらなる成長を海外に求める戦略のようだ。
ゲームセンター出店拡大へプリクラも復活(2002・7・31)
ゲームセンター各社は出店拡大に動き出したようだ。各社とも不採算店舗の整理を終え、再び攻勢に出る。
現在約350店を展開しているナムコは飲食店を併設した大型店「ワンダーシティ」の出店を約3年ぶりに再開する計画を発表した。同社は今期も小型店を中心に不採算店舗を閉鎖するが、店舗閉鎖は今期で一段落させる計画だ。約280店を展開するタイトーは、今期20店の出店を計画している。ショッピングセンター内を中心に出店し、家族客の集客をねらう。約150店を展開するセガも約2年ぶりに出店を再開する。
一方、中堅各社も出店に動きが出ている。61店を展開しているアドアーズは今期10店以上の新規出店を計画。新店舗では女性従業員の比率を大幅に増やし、女性客の来店を喚起する。23店を展開しているアムリードはコナミからゲームセンター事業を買収、店舗数を18店舗増やした。
九州最大手のワイドレジャーは、ディスカウントストアのドン・キホーテと提携、自社店舗にドン・キホーテを併設するほか、首都圏のドン・キホーテの店舗に出店する新しい出店戦略を打ち出した。
お客様が経営者 イオンの新戦略(2002・7・22)
日本の経済社会を蝕んでいる嘘やごまかしの体質、そのようななかで最近、さわやかに映るのが小売流通の雄イオンが展開する「顧客副店長」の施策である。事前に顧客から店舗改善プランを出してもらい選考のうえで副店長に任命し経営に携わってもらう。これはどうやら従来からあるようなイメージ戦略の域を超えた同社の地域密着戦略のようである。
基本は徹底的な情報開示。副店長はどの商品がどれだけの利益を出しているかがわかり、会社に適正利潤を突きつけることができる。店頭には副店長による店舗改善プランを張り出す。消費者を代表して提案したサービスや商品アイデアに対して店舗側の実践状況なども克明に報告していく。
この施策、失敗すれば不誠実な企業として致命的なダメージを受けるリスクは大といえるが、もし成功すれば地域顧客からの信頼度が大幅に高まる画期的な営業戦略ともいえるだろう。さらに効果があるのは、社内への緊張感を醸成できることだろう。公開された顧客への約束は、店舗が最優先せざるを得ない営業課題となるからである。
一人勝ちを続けるか日本一のヤマダ電機(2002・7・15)
2002年3月期の家電量販店の決算がまとまった。売上高ではヤマダ電機が約5,600億円を売上げ、コジマの約4,950億円を凌駕し日本一となった。ヤマダは昨年度に比べ19%の売上増となった。また、同社はライバルのコジマを利益面でも圧倒している。営業利益は約100億円、経営利益でも約183億円を稼ぎ、前年度比で各7.2%、11.5%という伸びを示した。
かたやコジマの営業利益はマイナスの約49億円、業界3位のベスト電器(売上高が約3,540億円)も約17億円の営業赤字となっている。もっともヤマダは、営業利益率では2%に届かずやや物足りないという感想も否めないものの、ヤマダのビジネスモデルはさらに発展できる可能性を秘めているとみられる。
同社の従業員は約6,400人、その3分の1は退職金を支払わなくてもよい準社員である。一例が「営業補助社員」というシステム。ヤマダの店には朝、開店前に当日納品される商品を受け付け、店頭に補充して、昼には帰る従業員がいる。いわゆるワークシェアリングという発想であるが、このことによって高い人件費比率を大幅に削減できる。そのほかにも効率のよい大型店舗、SCM(サプライチェーンマネジメント)などの他社に先駆けた革新も行っている。
買物は好き、でも、店は厳しく選ぶ(2002・7・2)
いまだ不況のトンネルから抜け出せきれずにいる日本経済であるが、景気浮揚の本命とみられる消費行動に標題のような傾向があることがわかった。民間の調査機関であるセゾン総合研究所の「消費行動調査」によると「ショッピングは楽しみ」だという生活者が全体の約78%にのぼっている。同調査は首都圏在住の20代から60代までの1,200人を対象としているが、この買物好きという傾向は年代、男女を問わず高い比率を占めているという。
しかし、財布の紐は概して固く消費意識面では合理的な態度が顕著に表れているようだ。たとえば価格へのシビアさである。「時間がかかっても安く買う努力をしている」という人が全体の約67%となっている。購買の合理性は単に消費者を安く買うという行動に駆り立てるだけではない。各種の割引サービスや買物の量によってポイントが加算される魅力から、クレジットカードを選ぶ層が6割以上にものぼっていることがわかった。
最近のマクロ経済指標にもやや明るさの萌芽が見え始めた昨今であるが、こういう時こそ小売業は消費者の選別に負けない明確なポジションニングを採ることが重要である。
シェアからシュアへ注目商店街の試みに学ぶ(2002・5・24)
京都市中京区の一角、かつては友禅の職人が多く住み、いまでも京の下町の風情を色濃く残すエリアにあるのが、流通関係者が注目する西新道錦商店街(組合員数155人)である。幅4m足らずの、広いとはいえない通りの両側に生鮮食品などの身近な商品を扱う小売店が密集している。一見、どこにでもみられるような地域密着型の商店街である。
注目される理由は、しょうひしゃとの心の結びつきを重視したソフト戦略にある。それも
IT(情報技術)を十二分に活用していることである。その一例が独自のICカード事業だ。
いまや、ICカードを発行する商店街はめずらしくはないが、当商店街はめずらしくはないが、当商店街ではそれに独自の味付けを加えている。消費者はカードリーダーつきの端末を商店街から借り、自宅のテレビで商店街の催事や個々の店の商品情報を見ることができる。簡単操作のリモコンで注文することが可能だし、配送も頼むことができる。もちろん相手は毎日顔を会わせ、挨拶を交わす身近な商店街である。消費者は親近感に加えて便利さも享受可能となる仕組み。
価格競争はロイヤルカスタマーづくりには限界があるのではないか。この次元では消費者はより価格の安い店を探して漂流するだけである。むしろ、ある確信をもって自分の店を消費者に選んでもらうという発想が大事である。シェアよりもシュアの時代である。
クリック&モルタルで新業態を開拓する(2002・5・17)
小売業の進化は常に新しい業態を生み出す。いま、注目されているのは、テレビ通販とリアル店舗をミックスさせた新しい小売スタイルである。テレビ通販の特徴は興味のある消費者を絞り、爆発的な訴求が可能なこと。一方、実際の店舗はリアルに商品を見たり手に取ることができ、浮動層の開拓を見込むことができる。両者は従来、両立し得ない、相反する業態と暗黙に考えられてきた。
そこに挑戦するのが、東京テレビランド(東京・渋谷)である。同社は地上波やCS(通信衛星)チャンネルを利用してテレビ通販事業を行う会社だが、現在、番組で取り上げていた商品を店頭で購入できる小売業態を研究中である。数年前からJR駅構内や食品スーパーの店頭などを利用して催事を行ってきた。街頭テレビで通販番組を流し、その前で商品を販売すると通行人の20人に1人の割合で興味を示してくれるという。同社ではこのようなテストの蓄積により常設店舗への足がかりがつかめ、近いうちに小売店舗を開設する計画である。
テレビで見ただけでは不安だという消費者も少なからずいる。この新しい試みの成り行きが注目される。
試行錯誤が続く1,000円ショップ(2002・5・10)
ワンプライスショップの代表格である100円ショップは、すっかり消費者に定着した。実際、何か欲しいと思って出かけてもおおむね何らかの物を探し当てることができるというのが大方の実感だろう。
一方、なかなか答えを探しあぐねているのが1,000円ショップではないだろうか。対照的な2社の試みをみてみよう。まず、日用雑貨やアイデア商品の卸を手がけるビタクールジャパン(東京・北)は、「サプライズ1000」の店名でFC展開をめざす。中国から輸入した皮製バッグや靴、時計などを卸す。
年内に30〜40店を出店する計画である。
「ミラクル1000」を11店舗展開している四エッチクラブ(東京・渋谷)は、売上不振のため3店を閉鎖することを決めた。出店計画も下方修正し、店舗増による拡張路線は取らない方針を打ち出している。
他業態の価格が低下傾向を示すなか、独自の効果的な提案をいかに行えるのかが、1,000円ショップの今後の可能性を左右している。
日帰りレジャー人気でスーパー銭湯が注目を浴びる(2002・5・9)
東急不動産は来春、スーパー銭湯事業に進出する。1号店を神奈川県相模原市に出店し、数年内に首都圏を中心に3店舗の展開を図る。スーパー銭湯は手ごろな健康レジャーとして集客が好調だ。郊外住宅地付近の店舗は、日曜日ともなれば家族連れで満員状態の店もある。
企業にとっても、メリットが高そうだ。2000年11月に開業した京成電鉄の子会社のよるスーパー銭湯の投資額は6億7,000万円だった。しかし初年度は、1日平均売上が約70万円、年間入場者数約32万人と順調なうえ、セルフサービスによりオペレーションコストも抑えられるので、遊休地を抱える企業には格好の新規事業となっている。三井不動産や東京建物、東日本旅客鉄道、九州旅客鉄道といった不動産会社や鉄道会社
の参入が目立つ。
一方、大和ハウス工業のグループ会社・大和システムは、13店を展開、来秋には上場を予定している。同社の成功は、中高年女性にターゲットを当てた店づくりと地域密着型の展開にあるという。
スーパー銭湯は飲食部分の顧客満足に不十分さもあるが、フィットネスクラブなどとの複合店舗への動きもあり、成長事業として注目される。
新しい金融サービス介護報酬の債権購入(2002・5・2)
介護保険を債権化し、介護サービス事業者のキャッシュフローを支援しようと、新しい金融サービスが登場した。三菱商事の子会社で介護事業者に福祉用具をレンタルする日本ケアサプライと、同社の株主であるダイヤモンドリースは共同で、4月から介護報酬の請求債権の買い取り事業を始める。
具体的には、介護事業者が介護報酬の支払い元である国民健康保険団体連合に対して介護報酬の入金先をダイヤモンドリースに変更する手続きをすると、10日後をめどに手数料を差し引いた金額がダイヤモンドリースから支払われる仕組みだ。日本ケアサプライが事業者をダイヤモンドリースに紹介する。入金先の変更手続きは、ダイヤモンドリースが代行する。
介護報酬は請求から受け取りまで約2ヶ月、事業者の中には運転資金の確保に苦慮するケースが多くなっているという。また、保険料の請求手続きが煩雑で、事務負担が大きい。債権を売却すれば当座の運転資金ができ金融機関からの借入れは設備投資などに振り向けて事業を拡大できるメリットが出るわけで、ダイヤモンドリースは、需要は高いと判断し、新規事業に乗り出した。
広がるサプリメント市場 栄養補助食品への関心高まる(2002・4・29)
健康や病気予防に対する意識が高まるなか、ビタミン、ミネラルなどのサプリメント(栄養補助食品)市場が拡大している。薬事法による表示規制などが強く、情報提供に課題はあるが、毎年数百億円規模の成長が続いている。
カネボウは今年2月、果物のラズベリーの香り成分に、脂肪を燃やす効果があることを発見したと発表した。自社社員での臨床試験では、1週間で32人中24人について、約1kg体重が減ったという。5月には、この成分を使った栄養補助食品を発売する予定だ。現在のサプリメント市場は約4,000〜6,000億円とみられるが、将来的には、1兆円を超すとの見方もあり、大手食品メーカーや製薬メーカーが続々と新製品を発表している。
サプリメント先進国の米国では、保険制度の違いもあるが、市場規模は2兆円ともいわれている。わが国も、健康保険法の改正により、医療費負担の増加が見込まれるが、こうしたことが市場拡大に拍車をかけるとも予想される。
今後の課題は、成分や効能についての情報提供を十分にできるような制度改正が重要となろう。
無洗米の販売が好調 米飯拡大の救世主となるか(2002・4・22)
とぎ洗いのいらない無洗米が、スーパーや生協をはじめ、各地で販売量を伸ばしている。1980年代から開発され、徐々に販売を増やしてきた無洗米もここにきて、環境問題や省エネルギーが追い風となってきた。
無洗米とは、白米の表面のヌカを事前に取り除くことで、基本的にとぎ洗いせずに炊飯できる米のこと。とぐ手間ととぎ水を省けることから、学校給食などの大型給食施設では、コスト削減の1つの武器として利用されてきた。
最近では、河川や海の環境を守る視点からも、無洗米を後押しする動きが見られる。キャンプ場でお米をとぐことを禁止し無洗米を推奨する、漁業協同組合で共同購入をするなどの動きがある。
年間40万トンともいわれるヌカは、河川のヘドロや赤潮の大きな原因となっている。これらを少しでも改善する動きである。
従来の無洗米は、味と栄養の面から市場に受け入れにくかった。まだまだ改善の余地はあるものの、一般家庭で簡便化が進む食事ニーズや、作業簡略化を進める外食チェーンでの利用は、今後大きくふくらみそうである。価格も以前に比べ、かなり低下してきており、衰退が続く米飯市場の救世主としても、目を離せない商品である。
人気店のカップ麺続々 カップラーメンの進化は続く(2002・4・15)
テレビや雑誌で紹介され、人気を博しているラーメン店のカップラーメンが、コンビニで好調だ。昨年来、カップラーメンの新製品として大手食品メーカーを中心に、有名店のブランドで売りだした。セブン-イレブンなどのコンビニでの販売は、全国のラーメン愛好家を喜ばせている。
日清食品が、「カップヌードル」を発売して30年目を迎えた。当初は、開発・販売に大きな苦労があったが、現在では、世界各地で食べられている。しかし、国内でのカップラーメン市場はここ数年頭打ちの状況で、各社は新たな手段を検討していた。そこで思いついたのが、有名ラーメン店とのタイアップ。テレビや雑誌で、よく取り上げられる有名店の味を守りつつ、切り口を変えたブランドの開発となった。
日本人のラーメン好きは、衰えを知らず続いている。今回の有名店ブランドは、こうした日本人の現状にうまくマッチし、久々のヒットとなった。熱狂的なファンも現れつつあり、ホームページでランクづけする人も出始めている。日ごろ、テレビや雑誌で評判を知りつつも、なかなか食べに行けない有名店の味を自宅で手軽に味わえることから、販売はさらに拡大しそうである。
日本マクドナルド 相次ぎ新規事業に参入(2002・4・8)
日本マクドナルドは、電子商取引大手のエブリディ・ドット・コムと共同で、同社の店舗と連動させた新しい電子商取引市場に参入する。4月から実験を始め、本格的な開始時期は7月を予定している。
新事業は、同社の店舗に旅行や映画、化粧品などのトレンド情報誌を置き、携帯電話に取りつけたバーコードをなぞって各商品の詳細情報を提供する。マクドナルドの会員カードに登録すると、携帯サイトで商品を購入することもできる。
その一方で日本マクドナルドは、英国でサンドイッチ店を展開するプレタ・マンジェと提携し、日本で同名のサンドイッチ店のチェーン展開にも乗り出す。プレタ・マンジェは季節の食材を生かした手作りサンドイッチが人気。サンドイッチやサラダを自然食材だけで店内調理し、新鮮な状態で提供しているファーストフード店だ。
日本マクドナルドは、7月から持ち株会社体制に移行する。電子商取引事業、サンドイッチ店を含めて新規事業を持ち株会社の傘下に置き、グループ経営で多角化を加速するものと見られている。
また、日本マクドナルド内でも地区本部制を取り入れるなど経営体制の改革もすすめる。
SMで全国制覇をめざすイオン、九州の寿屋を取得(2002・4・1)
このほど、イオンは民事再生手続き中の寿屋から50店舗あまりを取得することを発表した。そのうちの約40店舗が食品スーパー(SM)である。取得を決めたSMの合計売上高は約360億円、店名もグループの大型SMと同じ「マックスバリュ」(MV)に改める。社名はマックスバリュ九州となることが有力視されている。イオンにとってSM展開の遅れていた九州地区にいきなり中軸企業が誕生することになり、この段階で全国チェーン構想の足がかりをつかむこととなる。
同社は、これまでGMS、ドラッグストア、サービスに加えてMVのブランドをテコにしてSMを中核事業として位置づけてきた。現在までイオン直営の全国54店舗に加えて、MV北海道(35店)、MV東北(77店)、MV東海(ヤオハンが社名変更、36店)、MV西日本(133店)があるが、今回の九州地区40店舗がMVグループに仲間入りすることで、ナショナルチェーンへの足がかりを構築することになる。
事業リストラを志向する総合小売業(2002・3・30)
顧客を無視したやみくもな量的拡大は、繁栄にはつながらない。小売業は「顧客の課題解決業」という本質に立ち返らなければならない。そのようななか、きめ細かな対応で顧客の満足度を高めようとする事業リストラの動きが芽生えつつある。
マルエツはこの春から、一部店舗を対象に、高齢者や身体障害者へのサービス技術者である「サービス介助士」を配置する。これは非営利組織(NPO)法人が認定する民間資格で、同社は全額を負担してサービス介助士の育成に努める。
一方、イズミは資格保有者が常駐する新店舗を福岡県大牟田市にオープンした。看護婦などの医療・福祉有資格者が介護補助具やバリアフリー商品を扱う売場で活躍する。
スーパーマーケットでも対応は積極的である。東京・青山の高級食品スーパーの紀ノ国屋は、食品表示や栄養学、衛生管理の知識を持つ「食生活アドバイザー」の養成に乗り出した。すでに、ラルズやヤオコーは店頭実演調理による提案コーナーに栄養士を活用している。
いずれのケースでも、短期的な売上増大よりも長期的な顧客との関係を重視することで活路を見出そうとする戦略と見られる。
ストップ・ザ・デフレ(2002・3・29)
小売業界の挑戦・小売業界の重要テーマは、価格下落を打破することといっても過言ではない。このようななか、いくつかの試みが顕在化してきた。
大手スーパーマーケットチェーンのマルエツが展開するプライベートブランド(PB)「FOODeX」は、ナショナルブランドより10〜20%高い価格帯で、品質を重視している。味覚や産地にこだわって、安かろう悪かろうという小売業のPBのイメージを一新させようとする戦略である。たとえば、白米は定評のある産地に限定し、かつ検査段階で食味をチェックしている。また、卵では植物性飼料だけで飼育した鶏に限定して、品質本位での品揃えを行う。
大手スーパーのイトーヨーカ堂も同様の施行錯誤を行っている。総合スーパーでは価格競争の結果、ビジネスシャツのボリュームゾーンは1,900〜2,900円となっているが、同社では、3,900円の価格帯商品を加えた。高品質のスイス綿を使い、デザイン面でも高級感をもたせている。店頭でも品質のよさをアピールするPOPを採り入れている。
他業界でもハンバーガーチェーンのマクドナルドが平日半額セールを取りやめるなど、顧客単価を上げようとする方策が出始めている。
Kマートの凋落に学ぶ低コストシステムの重要性(2002・3・22)
総合生活産業化、この言葉は小売業にとって魅力的な響きをもつようである。最近、米連邦破産法適用で小売業として過去最大の破綻をしたKマートも同様であったようだ。19世紀終わりに雑貨店チェーンとして誕生した同社は、1962年にディスカウントストア1号店を出し、以後、DS専業に注力する。
しかし、その後、自社の店舗だけでショッピングセンターを造ろうと多角化に舵をとり総合化をたどった。おもに買収によって事務用品、スポーツ用品、ホームセンター、ドラッグストアなどを傘下に収めていった。
ここに落とし穴があった。拡大戦略で売上高は膨れ上がったが、経費はそれ以上に膨張した。管理部門の統合によるコスト削減を怠ったために債務も膨らみ、業績は下降線をたどることとなる。同社の運命を決定づけたのが2001年頃、ITを駆使し低コスト経営に強みをもつ業界リーダーのウォルマートにを価格競争を挑んだことだった。
その結果、同社の危機は決定的な段階を迎えてしまった。昨年のクリスマス商戦では全店が24時間営業、フル稼働で挽回を図ったものの、既存店売上は前年実績に届かなかった。低コスト運営のシステムが未確立の状態で体力勝負に挑むと、自滅に陥るという格好の教訓となったといえよう。
サービスステーションに進化するコンビ二(2002・3・15)
小売不振はコンビ二業界にとっても無縁ではない現状であるが、そのなかでコンビニ各社が取組みを強化しようとしているのが、金融機関などに代わって各種代金の支払いを受けつける収納代行サービスである。
大手6社の2001年2月期の収納代行取扱額は前年同期比で約27%増の約2.4兆円となった模様。各社の取扱額はここ数年2ケタ増のペースで伸びている。従来からある電気、電話、ガスといった公共料金に加え、いまでは高速バス代金や航空料金、ローン返済、大学受験料など多様化しているのが実情である。
このような状況の背景には、IT技術の進展などインフラの充実はもちろんのことだが、確実に収納を進めようとする提携先の都合もかいま見れる。提携先企業はコンビニと組めば、自前の店舗を持たずして長時間営業の受付拠点を数千店単位で確保できる。
最近では、生損保保険会社が保険料の収納拠点としてコンビニを活用したり、消費者金融会社が貸金の返済拠点としてコンビニを活用したりという動きが顕在化している。
アサヒビールがシェアトップ48年ぶりにビール首位奪還(2002・3・8)
昨年のビール・発泡酒の国内出荷量で、アサヒビールがキリンビールを抜きトップに立った。シェアは38.7%で、キリンビールの35.8%を約3%上回った。
アサヒビールは、「スーパードライ」を主力に出荷量を伸ばしたほか、発泡酒でも高いシェアを獲得した。これに対しキリンビールは、主力の「ラガー」が15.4%減と大きく落ち込んだ。また、発泡酒もアサヒビールの攻勢にあい、発泡酒市場全体の拡大についていけなかった。
このような状況のなか、今後の両者の経営戦略は、大きな違いを見せそうだ。
アサヒビールは、本業優先の姿勢を鮮明にしつつある。今回シェア首位に立った原因として、主力ビールの安定した好調ぶりと発泡酒のヒットがあった。今後もビール、発泡酒市場での占有率を高めることで単位あたりの販売コスト削減を図り、収益力を高めたいとしている。
対するキリンビールは、グローバル化と多角化を目指す。今回首位をアサヒビールに明け渡したものの、連結ベースでは依然、アサヒビールより優位に立っている。フィリピンのビール会社への資本参加や武田薬品工業の調味料事業の買収など、つぎの手を打ちつつある。
従来からの事業構造の違いはあるが、本来収益性が低いといわれるビール業界での両者の戦いは、新しいラウンドに突入した。
ロシア産野菜上陸 第2の中国をめざす(2002・3・1)
日本流通産業(中堅スーパーなどで構成する共同仕入会社)は、日本の商社と組み、今秋からロシア産の野菜を輸入する。まず、11月にウラジオストックからカボチャを買い入れ、その後、品目をふやしていく。
寒冷な地域での生鮮食品ということで、ニンジンやジャガイモなどの土中栽培の作物を中心にする予定だ。
最近、中国産の野菜輸入が拡大し、政府間の通商問題にまで発展したが、国内の消費者は生鮮食品にも低価格を求めており、流通各社としても、あらゆる手段で低コストの生鮮食品を探している。ロシア産の野菜については、一部の流通大手で取り扱いが始まっているが、中国等の仕入を補完する程度。日本流通産業が、本格的なロシア産生鮮食品輸入の先鞭をつける形になりそうだ。
ロシア産の野菜については、ロシア極東の気候や土壌に合う種を使い、日本人好みの味や食感を得られるようにするという。価格については、中国より格安との判断もあるようで、今後はさらに、輸入食品の幅を広げたいとしている。
美容サービスを細分化 低価格に人気集中(2002・2・15)
これまで美容院などでパーマやカットなどに加えて、セットで行われていた爪の手入れやメーキャップなどを個別に、短時間、低価格で行うサービスが人気を集めている。
シアフア企画は、ネールカラー1,000円、ネールケア1,500などの低料金のネールサロンを4月からフランチャイズチェーン展開する。同社は昨年5月に、1,500円だったネールカラーのコースを1,000円に値下げしたところ、10代や40代の新規の利用者が集まり、来店客数を3〜5割増やした。
メーキャップでは、イタリア婦人服ブランド「ナラ カミーチェ」が展開する「15ミニッツビューズ」が人気を集めている。プロのメーキャップアーティストが15〜20分で仕上げ、価格は2,500円から。複数のメーカーの化粧品を使って顧客に合わせたメークをすることが人気のもと。
プロによるメーキャップサービスは海外の化粧品ブランドなどが20分3,000円程度で出始めており、これらも人気を集めているという。
一方、低価格美容院を展開する田谷は、傷んだ髪や老化した髪をケアする本格的なトリートメントサービスを導入、新たな収益源として打ち出した。
地域商業振興にに手厚い来年度政府予算案(2002・2・8)
通常国会で審議される政府予算案がまとまった。そのなかで小売流通関連をみてみると、 まず特筆されるのは、中心市街地活性化法に基づき活性化策を展開するタウンマネジメント機関(TMO)の支援額が9.3億円前年度当初より1.6億円の上積みとなったことである。 同法の施行から約3年半が経過し、各地でTMOの設立が活発化していることを受けたものとみられる。
大きな目玉となっているのが、コミュニティ施設活用型の商店街活性化事業。商店街の 空き店舗を利用して保育所づくりを支援しようというものである。要求に対し満額の13.8億円が認められた。増加する共働き夫婦と空き店舗対策に悩む商店街。この双方のニーズ に合致したものと関係者に好意的に受け止められている。そのほか、アーケード改築やカラー舗装などの事業に38.5億円、イベント広場など商店街の賑わいづくりにも31.5億円が 盛り込まれた。
公共投資を10%削減するなど緊縮型となった来年度政府予算案であるが、そのなかで中心市街地および商店街活性化面については、比較的充実した内容となっている。商店街を含む地域商業活性化はコミュニティ再生の中心になるとみられるだけに、関係者にはこれを効果的に活かしてもらいたい。
多頻度・小口化に悩む小売業界の現状(2002・2・1)
最近の消費不況の原因は、無駄な買い物をせずに「必要なときに必要なものしか買わない」という合理的志向に起因しているようだ。とくに日常的な買い物にその傾向が強い。あるローカルスーパーマーケットは、惣菜部門を強化して主婦を囲い込もうとした。これが当たり2001年9月中間期は、既存客数が3.3%増加した。しかし一方で、客単価は1.5%の減少となってしまった。これまでより買い物の頻度を増やして小口で購入しようという、窺い知る結果である。
百貨店でも多頻度・小口化は同様に進行している。食品売場を改装して業容アップを図った東急百貨店の昨年2〜7月の営業成績は、客数が前年比6.4%と健闘したものの、購入単価は7%のダウンとなってしまった。
このような購買行動がもともと顕著なコンビニ業界では、さらに打撃が大きい。日本フランチャイズチェーン協会の調査によると、コンビニの来店客は最近2年間はほぼ一貫して増加傾向にあるという。しかし、客単価の落ち込みがこれを上回るペースで進行しており、結果的に既存店売上高のマイナスが続いている。
このようななかで企業が収益を拡大するための戦略は、ひとつでも多くの商品を買ってもらう意外にはない。小売企業の知恵の出し合いも正念場といえる。
狂牛病余波 代替食品の需要急増(2002・1・25)
豚肉、鶏肉の需要が急増している。国内で狂牛病が発見された9月以降、牛肉の需要が急 速に落ち込み、こうした代替食品の消費市場が拡大。食品市場が急変している。
12月に入り、鶏肉の卸売価格は、狂牛病発生前と比べ、40%近くも値上がりするものがでてきた。豚肉でも卸価格が10%程度上昇している。狂牛病の発生により、消費者が牛肉を避け、鶏肉、豚肉の購入を増やしていることが背景にある。
また、こうした動きは、食品輸入にも見られる。横浜税関がまとめた管内16港の11月の貿易統計によると、牛肉輸入量は前年同月比38%強の減少。逆に鶏肉、豚肉は、いずれも2ヶ月連続の2ケタ増で、需要代替の動きを裏づける結果となった。
一方、牛肉からの消費シフトは、肉類だけでなく、魚介や植物性タンパクの食品にも及んでいる。スーパーのマルエツでは、11月の鮮魚部門の売上が前年同月に比べ約10%増えた。千葉のある納豆工場では、9月には2,500万食だった販売量が、10月には3,000万食、11月以降もフルライン生産が続いている。消費者がタンパク源を納豆や豆乳などの植物性タンパクに切り替えてきているようだ。
第2、第3の狂牛病の発生と、まだまだ予断を許さない狂牛病騒ぎの余波は、わが国の食品市場を大きく変化させつつある。
ビジネスモデルを模索するオンライン書店(2001・12・24)
書店大手の三省堂が、書籍のオンライン販売から撤退するともとれる大幅な縮小策を打ち出した。
サイトはそのまま維持するものの、運営業務をブックワン(東京・文京区)に移管する。サイトで売れた冊数だけ、ブックワンから紹介手数料をもらう。
国内の書籍市場は2000年で約1兆円といわれるが、そのうちオンライン書籍市場は1%を上回る程度と見られている。現在、その小さな市場に10社以上が参入しているが、どこもコスト面での問題で悩んでいる。
書籍小売業の粗利は定価の20%程度。それに対して、2%がクレジットカードなどの決済費用、5%が梱包や配送などの物流コスト、これらにシステム経費や人件費などが上乗せされ、最終利益は数%となる。
このような状況下、冒頭の三省堂のケースに見られるように各社の戦略の見直しが迫られている。関係者の中には、「書籍のネット通販は店頭販売の補完機能にすぎない。一部の企業を残して後は淘汰されてしまう」という悲観論も噴き出す有様である。インターネットブームにのって雨後の筍のように輩出した多くのオンライン書店は、独自のビジネスモデルの開発が課題のようだ。
街の酒屋さんがなくなる?進む酒販業の規制緩和(2001・12・17)
商店街に代表される地域の馴染みの独立店が消え、スーパーやコンビニなどの大手ストアが乱立する・・・。現代の小売流通戦争を端的に暗示している構図だが、その状況が先鋭化しているのが酒販店業界である。
お酒の販売自由化の方針が打ち出されたのが1998年、政府の「規制緩和3カ年計画」の一環であった。その後、若干の足踏み期間があったものの、今年1月には販売店間の距離を規制する距離基準が撤廃され、新免許枠7.000が公告された。
この新免許枠を取得したほとんどが、コンビニ、ドラッグストア、ホームセンターなどの大手組織化小売業である。流行の100円ショップも、アルコールを扱い始めた。ドラッグストアバイゴー(東京・青梅市)が運営する「100円ストアジャスト坂戸入西店」である。同店から歩いて1、2分のところには、スーパーやコンビニ、ディスカウントストアが酒の安さを競っている。
この酒販売競争は、今後もさらに激化するだろう。9月には来年度の新免許枠として9.000以上が公告された。さらに、2003年には人口基準が撤廃され、事実上の酒販売の自由化が実現する予定だ。
一般酒店は、いかにしてこの状況に立ち向かえば良いのだろうか。生き残りに向けて、がんばってほしい。
選択と集中で健闘する百貨店業界(2001・12・10)
相変わらず低迷を続けているスーパーに比べて、高級指向も百貨店が健闘している。買い渋りの我慢にも限界がきたのか、消費意識の変化が顕在化しはじめたという感は確かにある。日用品は極力節約する反面、贅沢なブランド品にはお金をかけたいといった消費ムードが百貨店へ人々を駆り立てているようにも見える。
その背景には、百貨店企業の戦略努力があることもまた事実だ。たとえば、大丸梅田店は今春、不振の家具売場を縮小し、婦人雑貨・衣料品を拡大するとともに「エルメス」、「ルイ・ヴィトン」などの高級ブランドを大充実させた。また、シブヤ西武は地下食料品売場を移設し、全面的に婦人靴売場に切り替えた。
婦人衣料とともに百貨店を活性化させているのが食品である。調理済み食品などをテイクアウトにして楽しむ「中食」市場の拡大を背景に、地下売場拡充に努力する戦略も奏功しているようである。
復活の兆しを見せる百貨店、今後の躍進を期待したい。そして、スーパーの奮起を祈るばかりである。
フランチャイズビジネス新時代の幕開け(2001・11・9)
フランチャイズ小売業を営もうとする人の固定イメージは、脱サラのようなそれまで小売経営経験のない一般の人が家族 経営で開業するといったものだろう。
ところが最近では、複数FCチェーンのフランチャイジーとなり、総合的な小売ビジネスを展開するところが出てきた。
老舗鮮魚卸の中島商事(神奈川県・相模原市)は昨年夏、事業内容の大幅変更を理由に、社名をメガエフシーシステムズ に変更した。
同社は、1973年に牛丼の吉野家の加盟店となったことをきっかけに、メガフランチャイジー路線を拡大し、現在では牛角、モスバーガー、パン工房、サンマルクなど、客単価と立地条件の異なる6社のフランチャイズチェーンと 契約して総合的な小売業を展開している。
2010年に150店・ 年商200億円を目標とし、2003年には株式の上場をめざして いる。
1948年に静岡県・沼津市で開業した紳士服小売チェーンのゴトーも、同様の戦略を展開する。
55店の全店舗のうち、すでに25店を中古書店ブックオフやビデオレンタルのTSUTAYAなどの加盟店に転換した。
今年2月期決算では、非衣 料部門の売上構成比が65%に達している。3年前には、ブックオフ、TSUTAYAの複合店を県内の浜北市にオープンさせた。フランチャイジーによる小売業の新業態として注目さ れている。
女性に選ばれる家電量販店の条件(2001・11・2)
これからの小売業の発展は、女性をいかに引きつけるかにかかっているということに異論をはさむ向きはないだろう。
ハード商品が所狭しと陳列され、とかく男性向けの店づくりがされている家電量販店であるが、このたび、女性の消費者がどんな基準で選ぶのかという調査結果が日経流通新聞に掲載された。
それによると、コマーシャルやチラシによる効果は大きく、店のそばを通りがかったときにそれらの情報が想起されて、来店行動につながるようである。また、車の行列ができる店に対して、「この店には掘り出しものがある」といった印象を持つというのは、興味深い事実である。
値段の安さや品揃えの豊富さが購入の大きな動機となるこ とはもちろんであるが、中高年のお客のなかには、安さや商品バラエティの多さが逆に修理時の対応などで不安を持つ人も無視できないことがわかった。
消費のプロともいえる女性を誘引するためには、安さと品 揃えに加え、プラスアルファ要素が必要なようだ。
マイカルショック 卸売業連鎖倒産も(2001・10・26)
10月14日に民事再生法適用を申請したマイカルの取引先卸 売業各社が、相次ぎ取り立て不能の可能性がある売掛債券 額を公表した。
加工食品分野では、旭食品が10億円、加藤産業が5億1,000万円、伊藤忠食品が3億2,200万円、マルイチ産商が2億3,000万円、雪印アクセスが2億1,800万円、菱食が8,300万円となっている。加工食品卸各社はマイカルとの取引条件の見直しなどを検討しているが、旭食品は10月20日から取引を再開した。
アパレル関連では、グンゼが9億円、福助が4億円7,000万円、トリンプインターナショナルが4億円、ファイブフォックスが3億1,500万円、アツギが2億9,300万円、シルバーオックスが2億5,100万円、レナウンが2億4,700万円、タキヒヨーが2 億4,500万円、ナイガイが1億6,000万円、小杉産業が1億円、ワールドが1億円、東京ソワールが8,300万円などとなっている。
一方、箕面市のタオル製造卸のダイメンは18日、大阪地裁へ 自己破産を申請した。業績が低迷していた同社はマイカルに貸し倒れも発生して破綻。また、大阪市の老舗の肌着卸売業者であるマルホウも19日、大阪地裁に自己破産を申請した。
マルホウはマイカルとの取引が全売上高の70%に達しており、依存度がきわめて高かったことからマイカルショックの直撃を受けてしまった。